2021/7/5時点でアメリカ株が大変好調です。
アメリカの有名指数のダウやナスダックも右肩上がりです。
副業で投資を行っている方はいつの間にか資産が大きく増えていて驚いた方も多いのではないでしょうか。
今日はそんな好調なアメリカ市場を支えているファンダメンタルズの「テーパリング」について初心者向けに優しく解説していきます。
ファンダメンタルズ とは、国が出した経済指標などでその国の経済状態を判別することです。チャートにラインを引いたりするテクニカル分析と分別して抑えましょう。
ここがポイント
・テーパリングとは量的緩和を縮小していくこと
・金融政策の基礎が分かる
・日本は先進国で一番テーパリングから遠い国
・私の今後の投資戦略を解説
テーパリングとは?
まず、結論から申し上げます。
野村証券さんのお言葉をお借りするとテーパリングとは、
テーパリングとは、量的緩和策による金融資産の買い入れ額を順次減らしていくことを指す。出口戦略とも呼ばれ、雇用統計などの指標の改善に一定の成果が上がった時点で量的緩和策を縮小していくこと。
野村証券|証券用語解説集
この一文でお分かりいただけた方は「私の今後の投資戦略」まで飛んでください。
そして私の投資戦略にアドバイスをください!
なんのこっちゃという投資初心者の方は、まず 金融政策の基礎 を一緒に学んでいきましょう!
【初心者向け】金融政策の基本 ①
ここからは経済の勉強の時間です。
金融政策の目的は 物価の安定と雇用の維持 です(ここ大事)。
投資初心者は必ずおさえておきたいポイントなので何度も見返してください!
デフレとインフレの話
さてまずは「デフレーション」と「インフレーション」の解説です。
【デフレーション(デフレ)】
デフレとは、物の価値(日用品やサービスなど)が下がっていくことです。
企業の業績悪化などの要因で社員の給与が低くなり消費行動が減ります。
お金を使いたがらない世帯が増えることで、企業は商品の価格を落とさなければ売れなくなります。
業績悪化 → 雇用の不安定 → 消費行動の減少 → 業績悪化
この負のサイクルがデフレです。
ポイントは 物価が下がり貨幣の価値が上がる ことです。
【インフレーション(インフレ)】
インフレとは、物の価値(日用品やサービスなど)が上がっていくことです。
物の値段が上がることで企業の収益が増加し、社員の給与も上がります。
お金を使いたがる世帯が増えるので、経済が良好に循環していきます。
業績良化 → 給与の増加 → 消費行動の増加 → 業績良化
ポイントは 物価が上がり貨幣の価値が下がる ことです。
しかし今述べた循環は 世帯の収入が物価の上昇よりも大きいことを前提 としています。
賃金は大して上がらないのに物の値段は大きく上昇するという悪いインフレも存在します。
魔のスタグフレーション
日本ではオイルショックが起きた時代にインフレでもデフレでもない状態が生じました。
それが「スタグフレーション」という経済状態です。
スタグフレーションとは 景気後退時に物価が上がること です。
要するに給与が下がっているのにモノの値段が上がるのです。
オイルショックは原油価格を高騰させ、石油を原材料とする商品の値段を大幅に上昇させました。
スタグフレーションは消費者にとって最悪の状態といえるでしょう。
コロナショックは世界にどのような影響を与えたか
さて今なお猛威を振るっているコロナウイルスですが、世界経済にどのような影響を与えたのでしょうか。
今回はアメリカ株が好調なので、アメリカと日本を比較していきます。
一時心臓が止まるも回復基調にあるアメリカ
世界経済の中心であるニューヨークがロックダウンしたことが鮮明に記憶に残っています。
大げさかもしれませんがアメリカの心臓を止めたようなものです。
ロックダウン時のS&P500の値動きに自分の心臓まで止まりそうになった人は多いのではないでしょうか。
アメリカはロックダウン時に大幅な株価下落によって莫大な失業者を出してしまいました。
デフレの兆しを感じますね。しかし現在のS&P500のチャートを見てみましょう。
現在のS&P500の価格はコロナショック時の最安値の2倍に迫る勢いで高値を更新し続けています。
アメリカ全土の株価上昇、失業率が回復基調にあります。
要するに 現在のアメリカはインフレ傾向にある という考え方が自然でしょう。
主な理由として国が行う金融緩和政策とワクチンの普及です。
日本も量的緩和政策は行っていますが、アメリカは日本と比べ物にならないほどのワクチン接種率です。
*金融緩和政策は次の項で説明*
一部ではマスクなしの日常が戻ってきた地域も存在しています。
緊急事態宣言を引き続き行っている日本
ニューヨークのロックダウンに日本も影響を受けました。
金融市場だけでなく、観光、飲食などサービス業を筆頭に日本経済も大ダメージを受けました。
そのため日本でも多くの失業者を出したのが事実です。
次に日経平均株価のチャートを見てみましょう。
コロナショックの株価はアメリカ同様に高値を更新しました。
つまり日本株は上がっています。しかし我々の消費行動は増えていますか?
デフレとインフレの話を思い出してください。少し嫌な予感がしますね。
アメリカとの大きな違いはワクチン接種による人々の消費行動の違いです。
日本株が上がっている主な要因は 日銀が量的緩和を継続して政府がガンガンお金を撒いているから です。
休業補填や助成金など、とんでもない額を全国の企業に配布し景気を刺激しています。
今回の記事は長くなりそう。
投資の本質を知って、人生をかけて投資と向き合いたい投資初心者はもう少し頑張って!!!
マクロの世界を知ることで自分の投資に自信を持てるよ!
【初心者向け】金融政策の基本 ②
次は金融政策についてです。
中央銀行が行う金融政策は主に 金融緩和と金融引き締め から成り立ちます。
ものごとはバランスが大切です。
金融の世界でも行き過ぎた景気は最悪のシナリオが待っているということを歴史が証明してます。
行き過ぎた景気にブレーキをかけることが金融政策の役割です。
この項目を理解することで「テーパリング」が経済にどのような影響を与えるのか分かります。
金融緩和
金融緩和とは 政策金利(中央銀行(日銀など)が一般の銀行に融資する際の金利)を引き下げて、市場に回るお金を増やすことです。主に不景気の時に用いられます。
金利が低くなればお金を借りる企業側は借りやすくなり、好循環な経済サイクルが生まれます。
金融緩和が行われた市場のセオリーは 株高、通貨安 です。
仕組みは、金利が下がった通貨は他の金利の高い通貨よりも魅力がなくなり両替されてしまいます。
そしてお金を借りた企業が業績を伸ばせば株価は上がります。
通貨安の状態は比較的に輸出産業に有利に働きます。
逆に通貨安の状態は輸入産業に不利に働き、通貨安が続くと原油高などの影響を受けてデフレにつながる可能性があります。
金融引き締め
金融引き締めとは 政策金利を引き上げて市場に流れるお金を制限することです。
主に景気が過熱しすぎた際に用いられます。
金融引き締めが行われた際の市場のセオリーは 株安、通貨高 です。
仕組みは金融緩和の逆で、金利が上がった通貨が買われ、お金を借りにくくなった企業の株が下がるからです。
さて、やっと今日のゴールである「テーパリング」についてです。
テーパリングとは 金融引き締め(出口戦略)を今後やっていくという宣言 です。
テーパリングという順次縮小宣言をして、段階的に政策金利を変化させることで金融引き締めに繋げていきます。
段階的な金融引き締めを行わないと経済の大混乱を招きます。
初対面の人にいきなり「好きです!」と言われたら混乱するのと同じです。
何事も段階を踏むことが重要。
日本とアメリカの状況は?
政策金利の比較
まず、日本とアメリカの現在の政策金利の比較です。
日本 → -0.10% , アメリカ → 0.25%
ご存じの方が多いと思いますが、日本の政策金利はマイナスです。
お金を預けていると逆に取られてしまう状況です。
昔と違い両国ともゼロに近い政策金利であるため、金融緩和の一環として量的緩和を実施しています。
量的緩和とは国が以前は買っていなかったリスク性の高いもの(不動産や株式)も購入して、お金が市場に出回ることを促すことです。
アメリカの今後
紹介したように現在のアメリカの景気は過熱気味です。
つまり、今市場が注目していることは「アメリカがテーパリングの発言をするかどうか」
景気が過熱しているのはロックダウンが明けた際に起こった人々の需要の一時的増加で、本来の意味で経済が回復したとは言えないとする意見もあります。
テーパリング発言がなければまだアメリカ株は買われる可能性が高いです。
そしてドルがらみの通貨は売られる可能性が高いです。
アメリカ株に関連した投資をしている人は絶対におさえておきましょう。
日本の今後
日本の政策金利はマイナスであり、これ以上下げることはできません。
つまり金融引き締めをするタイミングはしばらくは来ないでしょう。
現在の為替市場をみて分かる通り 日本円は主要通貨に対して大幅に売られています。
テーパリングはまずない日本円を売っておけば利益になると考える投資家が多いのでしょう。
ユニクロなど商品の価格を次々に下げる企業が日本国内に多くあります。
このまま量的緩和が進み、いずれデフレに陥らないかが心配です。
今は自信をもって日本株は買えない状態です。
日本が先進国で一番テーパリングから遠い理由
先ほど説明通り、日本が一番テーパリングから遠い理由は マイナス金利 だからです。
現在マイナス金利を導入している先進国はスイスと日本くらいです。
みなさんは一律給付金10万円をどのように使いましたか?
ほとんどの世帯は貯金に回したという調査結果が出ているそうです。
要するに 貨幣の価値が上がっている = デフレ傾向にある ということです。
国民の消費行動がない国に金融引き締めは必要ありません。
国内にお金が回らな過ぎて苦肉の策としてマイナス金利を実施した国が経済を引き締める日は当分先でしょう。
まず日本は物価安定水準を目指すことが目先の目標となります。
お金を「使う」ことも大事!
私の今後の投資戦略
最後に私の今後の投資戦略です。
対象は 積立ニーサ、ETF、FX、貯金です。
*日本株や仮想通貨などはやっていなので前項を参考にしてご自身で判断してください*
*投資は自己責任です。リスク許容度をしっかり意識しましょう*
【積立ニーサ】
今まで通り eMAXIS Slim 全世界株式 を積み立てていく。
【ETF】
余剰資金で積み立てている VYM をそのまま継続
現金のポジションも増やしたいので積立金調整中(半分にする予定)
【FX】
前提は1週間から2週間握るスイングトレード。
円安継続がシナリオ。円がらみ(特にドル円)は下がったところを押し目買い予定。
他のドルストレートは基本的に様子見。
その他はポンドに注目。ファンダに注目。
【貯金】
過熱しすぎた株式を買うのはナンセンス。
キャッシュのポジションを増やして割安になるまで待ち。
【仮想通貨(おまけ)】
最近静かな仮想通貨。大幅に下がったら買いたい。
リスクおばけな商品なので投資資金は少なく。
最後までご覧いただきありがとうございます。
今月も自分で考えて行動していきましょう!
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